買う時に第一巻の「フェア・ゲーム」と第二巻の「フェア・プレイ」が出てたので両方購入して、今回第二巻を読み終わりました。
このふたり、やっぱり愛しいなぁ。
海外翻訳本だとどうしても文章のおかしな部分に目が行きがちですけど、この「フェア・プレイ」については、本当に普通にするりと読めました。
むしろ日本のBL作家さんでもあまりいないぐらい、ふたりの心理描写と雰囲気が伝わってきてすごかった。
エリオットとタッカーの表現が難しい微妙なすれ違いが見ていて、ハラハラするけど面白い。面白いって楽しめるほどに違和感がない。
話は三人称だけどエリオットの視点で進んでいくので、エリオットがどういう考え方でタッカーに対して怒ったり苛立ったりしているのかは分かるんですけど、対してタッカーのエリオットに関する感情についてはエリオットと同じように読者は「多分、こんな感じ?」と想像するしかないのが歯がゆいんですよね。
でも読者だからエリオットが分からないこともなんとなく理解出来て、「おいおい。エリオット。多分それタッカー本気だと思うよ?」となります。
このね、微妙な感じがね……? すごいんだよ……。
だからタッカーが「お前が望むならどんなことでもする」っていう言葉もエリオットにしては意外なんだけど、第一巻からタッカーのエリオットへの気持ちを見てきた側としては「いや。マジだろ」ってなるわけでして。
今回は特にエリオットのお父さんとその昔の仲間の過去が話の主軸なんですが、タッカーがぐいぐいと話に入ってくる様子が「これはもうエリオットへの愛だろ」ってなります。
タッカーは現役のFBIなので事件に関わってくるのは自然の流れともいえるんですが、やっぱり愛ですね。これ。
今回なにげにじんわり来たのがエリオットとタッカーが自分と相手の違いに気づいて、その上でお互いにそれを乗り越えようとしはじめたところだと思う。
なんだかんだ言いながら両親に愛されて育ったエリオットと、両親に愛されるという経験がないタッカーだからこその意見の行き違いが作中で何度も丁寧に書かれていて、最後にタッカーがエリオットにその二人の相違について言及した時は、「あ、だから二人ともここまで気持ちが微妙にすれ違うのね」と納得した部分もありました。
このふたりの距離感はこの作品ならではの魅力だと思います。
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